逢い引き

”ZX”さま1000ヒットゲット記念
お代官さまプレゼント小説

原案 ZXさま
製作 越後屋雷蔵



「・・うふ・・うふ・・うふふ・・」

不気味な笑いが、多分無表情なわたしの口から漏れている。

無理もない。

わたしは策略の限りを尽くして、遂に碇くんとのデートの約束を取り付けたの だ。

策略の指導をしたのは、碇指令と赤木博士なのは言うまでもない。

恥ずかしがっているのか、渋っているのか分からない碇くんをようやく籠絡し たのだ。

不気味な笑いが出てきても、仕方がないのだ。

果たして碇くんは、わたしをどこに連れていってくれるのだろうか。

まさか禁断のXXXなXXXとか、情念燃えたぎるZZZとかに行ってしまう とか・・

「・・うふ・・うふ・・うっふっふ・・・」

ああ、また笑いが・・・

それはともかく、策略の仕上げはあのサルだ。

サルの事だから、わたしと碇くんがデートだと判れば、絶対お邪魔虫になるの は決定的だ。

まあ、手段が無い訳ではない。

碇指令に手を廻して、ああしてこうして、問題ないわ。

さて、明日のためにお風呂に入って綺麗に磨いて、新しく買っておいた下着を 出して、さっさと寝てしまおう。

ああ、早く明日にならないかしら。

「・・うふ・・うふ・・」

いけない、いけない・・・



「はあ〜、どこに行ったら喜ぶのかなあ。」

僕は困っていた。

いままでデートなんてしたことがない。

いろんな雑誌なんかのデートスポットなんかを読んでみたけど、どうも綾波相 手では違うような気がする。

もし、アスカが相手ならこんな苦労はしなくてもいいんだろう。

アスカは勝手に進んでいくから。

マヤさんに相談してみた。

一般常識的な答えが返ってきたけど、相手が綾波だと知ると「ちょっと、難し いわねえ。」なんて言い出す始末だ。

マヤさんでこれだから、他の連中には聞いても無駄だろう。

ミサトさんやリツコさんは論外だし、ただでネタを提供するようなもんだ。

「・・でもねえ、シンジくん。結局のとこ、女の子は好きな人とならどこでも いいんじゃないのかしらね。その人と一緒って事が一番大事なんじゃないかな。 そう思うんだ。シンジくんが行って楽しいとことか、心が休まる所なんかいいん じゃない。」

なるほど。

でも、僕が楽しい所では、綾波は楽しくない恐れもある。

ならば、僕が安らげる所か・・・

じゃあ・・

「ありがとうございました、マヤさん。」

「がんばってね。」

「はい。」

僕はとっておきの場所を決めた。綾波がどう思うかは判らないけど、僕はそこ で心が安らげるって事を知ってもらいたいから。



さて、その当日

シンジとレイは待ち合わせた場所で、合流しテクテク二人仲良く歩き出した。

少し離れた所に怪しい人影が三つ。

「わたしはレイの保護者として、見届けなきゃいけないのよ。」

「あたしだって、シンちゃんの保護者だもん。」

「やはり、仲間としては成り行きを・・・」

好き勝手な事を言い合っているミサト、リツコ、アスカのネルフ最凶トリオで あった。

シンジとレイが街角を曲がり、姿が見えなくなってスタコラと追いかけようと した三人の前に、マイクロバスが一台遮るように止まった。

武装した兵士が十人ほど飛び出してきた。

「かかれっ!!」

聞いた事のある指揮官の声が響いた。

不意を突かれた三人は抵抗する間もなく、マイクロバスに連行された。

指揮官らしい男が口を開いた。

「おまえら、いったい何やらかしたんだ。」

指揮官は加持であった。不思議そうな顔で三人を見ながら言う。

「抵抗したら射殺もやむなしなんて命令がでてるんだぜ。指令の直接命令がさ 。」

最凶の三人は呆然としていた。

その中でアスカが一気に理解し、叫んだ。

「あの人形女、あたしたちの行動を予測して指令に手を回しやがったんだわ。 」

地団駄踏むアスカに加持は呆れたように声を掛けた。

「またやってたのか、覗き。おまえらは・・・葛城にリッちゃんは仕事はどう したよ。」

「「・・ほ、保護者として〜・・・へへへ」」

「ムッキ〜!!」

素知らぬ顔ですっとぼけるミサトとリツコ、暴れ回るアスカを乗せたマイクロ バスは一路ネルフ本部へと向かって去っていった。



わたしは浮かれている。

フワフワ浮いている。

今日の碇くんは、いつもと違ってわたしをグイグイ引っ張ってくれるみたい。

時折、歩き詰めのわたしを気遣って振り向きながら優しい言葉を掛けてくれる 。

うれしい。

どこにいくのかしら。

ちょっと人気のない山の中に入っていく。

なんだか、うれしいけど、き、緊張する・・

木がたくさん生い茂って、だんだん暗い方に移動してるみたい。

バカバカバカバカバカバカバカ・・・

今日の心臓は、いつもとひと味違う・・

手足が震えているみたい。

不安?碇くんと一緒でそんなことがある筈がない。

そう、こういう時の震えは武者震いって言うのね。

碇くんが振り向きながらわたしに言った。

「綾波、ここだよ。」

薄暗い林を抜けた。

そこには、大きく広がる花の絨毯。色とりどりの花が乱れ咲いている。

外れの方には湖が、光を反射させてキラキラ輝いている。

呆然と目の前に広がる光景に目を奪われたわたしは、フラフラと進みながら呟 いた。

「・・・綺麗・・・」

「綾波、気に入ってくれたかな。僕のとっておきの場所なんだ。ここに連れて きた人は綾波だけなんだよ。」

碇くんはいつも優しい。けど今日は特に優しい。

「・・凄く綺麗・・素敵・・わたし、気に入ってしまった・・」

「よかった・・」

ホッとしたような碇くん。

綺麗で素敵な場所で、大好きな碇くんと一緒。

浮かれるを通り越して、完璧に舞い上がっているわたし。

碇くんはわたしの手を取って、進んでいく。

わたしはいちいち足下の花を見るために、立ったりしゃがみ込んだりした。

碇くんはそんなわたしを黙って見ている。

「・・・・・」

碇くんが何か言ったみたい。

わたしは振り向いて聞いたの。

「・・なあに?・・」

きっとわたしは締まりのない顔をしていただろう。

でも、笑えた。

嬉しくて、

楽しくて、

素直に笑顔になれた。

「・・綺麗だ・・」

碇くんはそう言ったの。わたしを見てそう言ったのに気が付かなかった。

「・・ええ、綺麗ね・・」

わたしがそう言い返したら、碇くんはしゃがみ込んでいるわたしの肩を掴んで 、

「綾波が・・すごく・・綺麗だよ・・・」

わたしはこういう言葉には徹底的に弱いみたいで、数秒気絶していたみたいだ った。

気が付いたら、

碇くんが、

わたしを、

抱きしめていた。

どうなってもいい・・・

碇くんと一緒なら・・・

わたしは思いっきり、碇くんにしがみついた。

花の上を舞う風が、花の香りで祝ってくれるように、優しく吹き抜けていった 。




これは”ZX”さまが1000カウントを踏まれた記念に越後屋がプレゼント に書いたものです。

特別リクエストにより製作されました。

内容については、もう何も言わないで。

反省してます



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