プロレスなチルドレン2

製作 越後屋雷蔵


ここはネルフの廊下。

三人のチルドレンが、なにやら白熱した議論をしながら歩いてくる。

なんと、あの綾波レイまでもが・・・

「だからあ、ハンの関節は・・・」

「猪木の神髄ってのはね・・・」

「・・・シンの真価はやっぱり・・・」

なかなか騒がしい。

ちょうど赤木リツコ博士の部屋の前を通りかかったとき、ドアが開いてリツコ が出てきた。

「あなたたち、ちょっとうるさいんじゃないの。」

リツコはジロリと睥睨する。

一時冷たい空気が、辺りを漂いだす。

が、リツコはニヤリと笑うと

「ふふん、あなたたちがプロレスを語るなんて十年早いんじゃないかしらね。 」

三人の顔を見まわして、言った。

「ねえ、アスカ。テクニックっていうのは、サブミッションだけじゃないのよ 。極めるだけでは観客を唸らす事は出来ないの。そういう意味で、全盛期のビル ・ロビンソンを外す訳にはいかないのよ。」

今度はシンジに向き直り

「シンジくんは猪木の華やかさにだけ目がいってるにすぎないわ。新日本プロ レスを語る上で、山本小鉄と星野勘太郎のヤマハ・ブラザースを忘れる事は出来 ないわ。」

最後はレイであった。

「レイ。タイガー・ジェット・シンは確かに狂乱のレスラーとしては一流よ。 でもね、その肉体だけを凶器にして全米マットを震撼させたタッグ・チームがい た事を、あなたは知らないのよ。ディック・ザ・ブルーザーとクラッシャー・リ ソワスキー。技らしい技は無いし、テクニックなんてどこ吹く風。その鍛え上げ られた肉体のみで破壊しつくした。」

リツコは一言。

「まだまだ、甘いわね。」

と、その時

「わたしは、ザ・シークがいい。」

碇ゲンドウだった。

「やはり、火炎殺法が痺れさす・・・」

「父さんも参加するの?・・・」

「当然だ・・」

メガネを押し上げながら、ゲンドウは呟く。

「シークはブッチャーの師匠格で、かつて馬場をも倒した実力者だ。外す訳に はいくまい。」

「司令、お言葉ですがヒールばかりが優遇されてはいませんか?」

ついに葛城ミサトまでが、参戦を表明した。

「正統派は、ルー・テーズ。これですよ。バック・ドロップでNWA世界を奪取 しまくった20世紀最強の男。ラフ・アンド・テクニックという言葉はテーズの 為にあるようなものです。テーズ無くしてNWAの隆盛はあり得なかったと言って も過言ではありません。」

「葛城くんは減俸三ヶ月。」

「そりゃあ、反則ですよ。司令。」

「かまわん。元々わたしは悪役の役回りだ。」

「冷酷無比、フリッツ・フォン・エリックみたいですね。鉄の爪、アイアン・ クロー。」

「ふむ、フリッツもいいがジョニー・バレンタインの毒針エルボーも捨てがた いな。あの風貌に凄みがあるぞ。」

「くっくっく、司令もマニアックですね。」

リツコも負けてはいられない。

「マニアックといえば、業師ダニー・ホッジやAWAの帝王バーン・ガニア。伏 魔殿WWAの主、フレッド・ブラッシーも蚊帳の外には出来ないはずです。」

「黒い魔人、ボボ・ブラジル。メキシコの聖者、エル・サントやヨーロッパの 帝王、ローランド・ボックの名が出ないとは片手落ちですな。」

加持までもシリーズ参戦を果たしてきた。

「ふっ、興が乗ってきたな。では、一杯やりながら語るか。」

ゾロゾロと三人のチルドレンを残して去っていく大人たち。

「タイトルと内容が合ってないわよ。まさか、この話続くんじゃないでしょう ね。」

「まさか。誰も付いてこないよ。エヴァの話じゃなくなってるもの。」

「・・・どういうつもりかしら、この作者・・・」




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