シンジ・リターン

製作 越後屋雷蔵

テスト・タイプ05


夜。

草木も眠る丑三つ時。

シ〜ンと静まり返った葛城邸。

罰を与えられたシンジとレイの手によって、綺麗に片づけられたリビングの床 に、一筋の光が洩れていた。

光の先は、シンジの部屋。

部屋の中では、シンジがベッドに横になって、眉間に皺を寄せながらゴソゴソ なにかしている。

シンジの動きが、早くなってきたようだ。

だんだん早くなっていく。

「あ、綾波・・・・・うっ・・・・・」

シンジの動きが止まる。

放心状態と言うか、情けない顔をしてシンジはそのまま動きを止めていた。



その頃。

レイの部屋。

グッスリ眠るレイ。

かわいい寝顔である。

一足飛びにシンジを好きと認識してからは、暴走と言っていいほどシンジにな ついてしまったレイは、好きなシンジと同居する事にかつて感じた事のないほど の喜びを感じていた。

それゆえに、寝顔にも微笑みが自然と浮かび、カーテンの隙間から洩れてくる 光に照らされたレイの寝顔は、史上最強のかわいさを放っているのであった。

と、その時。

レイは瞑っていた瞳をカッと見開いた。

「・・・・碇くんが・・・苦しそうに呻いている・・・わたしを呼んだ・・・ ・いけない、碇くんがどこかへイッてしまう・・・・・」

レイは呟くと、ガバッと飛び起き

ドドドドドド

ダッシュでシンジの部屋に向かっていった。




ガラッと開く襖。

「・・・・碇くん・・・・」

情けない顔のまま、声の方を見るシンジ。

「ひい?」

情けない顔が驚愕に強ばる。

レイはツカツカベッドに歩み寄り、しゃがみこんでシンジに言った。

「・・・・・よかった・・どこにもイかなかったのね・・・・・」

潤んだ瞳でシンジの顔をジッと見つめるレイ。

「う・・・いや・・イッたってば・・・イッた・・・かな?・・・・」

怪訝そうな表情を浮かべるレイ。

「・・・・・捕まったばかりでしょ。もう、逃げるの?ちょっと早いわ・・・ ・」

レイは潤んだ瞳を、鋭い眼光に変えてシンジを見て言った。

「・・・・・わたしを置いて逃げたら・・・・・どうなるか・・・・・」

おそらく、また得意のアーム・ロックにシンジの腕を取ろうとしたのであろう 、布団をバッとまくり上げた。

「あ〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・」

情けないシンジの、声にならない叫びとともにレイが見たモノは・・・・・

*************だった。

(読者さまの想像の通りです)

*********を見て固まるレイ。

レイの顔色が、一気に、真っ赤の染まる。

視線は****に釘付け。

シンジの****はレイの見られているためか若さのためか、そのパワーを一 瞬にして取り戻した。

視線は釘付けのまま、レイはジリジリ後ずさる。

「・・・ご、ごめんなさい・・・あ、あの・・・わ、わたし・・・・その・・ ・・ま、まだ、心の準備が・・・・・出来てないし・・・・あの・・・・イヤじ ゃないんだけど・・・・・その・・・・・ちょっと・・・・恐いし・・・・・お 、おやすみなさい・・・・」

後ずさりながら、襖に到着したレイはバッと身を翻して逃げていった。

ちなみに、視線がシンジの****から離れる事はなかったのはご愛敬。

「・・・・ぼくって、最低?・・・・どうしよ・・・これ・・・・」

シンジは、そのパワーを取り戻し力を漲らせる****を見ながら呟くのだっ た。





翌朝。

野獣ミサトも交えて、朝食のテーブルに付いている三人。

相変わらずの寝ぼけ顔でミサトはサラダなんかを突っついている。

その時、野獣の勘に触れるモノが、シンジとレイの間に流れているのを感じ取 ったのだった。

確かに良く見れば、昨日のなつきようはどこへやら、レイは顔を桃色に染めて 下を向いてモジモジしている。

なぜかシンジの顔を見ようとしなかった。

シンジはシンジで、これもまた桃色の顔で視線を宙に泳がせている。

レイの行動は気になるようで、泳がせている視線を時たまチラチラレイに投げ かけていた。

「おまえら、なんかあったの?」

野獣はストレートに聞いた。

「へ?な、なんの事です?」

引きつった顔をミサトに向けるシンジ。

「・・・・な、なにも・・・なかったです・・・・・そう、なにも・・・しな かった・・・・けど・・・・」

最後の、「けど」はほとんど消え入りそうなくらいの呟きで、上手い具合にミ サトに聞かれることがなかったのは幸いであった。

「ふ〜ん、ま、いいけどね。忘れてもらっちゃ困るのは、あんたらは今罰を受 けているとこだって事よ。昨日言っただろ。乳繰り合うのは後にしろってさ。邪 魔するつもりはないのよ。でも、昨日の今日でこれではさあ〜・・・・・ねえ。 」

シンジはガタッと立ち上がると、

「な、なんでもありませんよっっっ・・・」

と、言って部屋に戻っていった。

「今日は1時からテストだよ〜ん。忘れんなよ〜」

ミサトは声を掛けてから、物凄いスピードでレイに向き直ってコソッと囁く。

「ねえ、レイ。あたしももうこんな歳だし、人生経験なんかあんたらより積ん できてるわよ。ま、あっちの方だって、物凄く経験豊富な訳じゃないけどあんた らよりは経験あるのよね。アドバイスしてあげるからさ、何があったか・・・・ ・言ってごらんなさい・・・ね・・・・ほれ・・・・」

努めて優しい猫なで声を出して、レイを懐柔して事実を聞き出そうとするミサ ト。

その甲斐あってか、レイは桃色の顔を赤く変えて喋りだした。

「あ、あの・・・・夜中に・・・碇くんの部屋から・・・・苦しそうな呻き声 が聞こえたんです・・・・それで・・・・行ったら・・・・」

レイはそこでまた俯いてしまう。

「大丈夫、大丈夫よ・・・・なんか話が朧気ながら見えてきたみたい・・・・ 」

ミサトは先を促す。

「・・・・・碇くんが・・・・その・・・・****を握って・・・・・わた しは・・・眼が離せなくなって・・・・・そしたら・・・・いきなり、大きくな ったんです・・・・・わたし・・・びっくりしちゃって・・・・・****があ んなに大きくなるなんて・・・・知らなかったから・・・・・・恐くなって・・ ・・そうなるのがイヤじゃないんですけど・・・・ちょっと、恐かったんです・ ・・・・」

ミサトはレイの頭を撫でながら、

「よしよし、そりゃビックリするわねえ〜・・・でも、慣れよ。あんなのはす ぐ見慣れるわ。・・・・・そうだ・・・・ひっひっひ。」

そう言って、不気味な微笑みを浮かべるのであった。






ここは、ネルフの廊下。

シンジが浮かない顔で、テクテク歩いている。

最近では珍しく一人であった。

いつもならレイがす〜りす〜りとまとわりついているのだが・・・・

(なんか変なんだよなあ〜・・・・みんな・・・・・)

シンジは戻ってきてからに、一連の出来事を考えてみる。

(ミサトさんは、オヤジの性格がかなり強くなってるし、リツコさんは、ネコ 好きの性格が表に出過ぎ・・・・マヤさんはまだ分かんないけど、きっとちょっ と違うんだろうなあ・・・・・綾波は・・・・・かわいいところが・・・出過ぎ 。非常にいいんだけど・・・・ちょっと戸惑うなあ・・・・しかし、あれをもろ に見られちゃうなんて・・・・恥ずかし・・・)

シンジはミサトに呼ばれて、リツコの執務室に行くところであった。


リツコの執務室は、完全に個人の実験室と化していた。

それはさておき。

リツコはイスに座り、ミサトは立っている。

シンジは恐る恐る、部屋に入って二人の前に立った。

「な、なんですか?」

「あ〜、単刀直入に言うわ。シンジくんには罰が足りなかったの。だから、追 加ね。」

「はあ?」

「今、あたしの家に同居してるのは、あたしの前から煙幕使って逃亡した罰よ 。そしてこれから言い渡すのは、逃亡を計画していた罰なの。いい?」

「う〜む、いい?って聞かれても・・・・・どうしようもないんでしょう?」

「あ〜も〜、シンちゃんってば物わかりがよくって助かるわあ〜。やっと分か ってくれたのね、あなたに拒否権なんか無いって事に・・・・・」

開いた口が塞がらないシンジであった。

「まあ、この罰も考えようによっては非常にグッドでナイスな罰になるかもし れないし〜・・・・・」

リツコは知っている。浮かれるミサトはろくな事をしでかさない事を。

「ミサト・・・・なにするつもり?」

不安な気持ちを隠さないリツコは、もろにイヤ〜な顔で聞くのであった。

「そんなイヤな顔する事ないじゃないの〜。たいした事じゃないわよ、ホント に。シンジくんとレイを一緒の部屋で過ごさせるだけなんだから・・・・」

「「なに?」」

ユニゾン成功するシンジとリツコ。

「何度も言わすなって。シンちゃんとレイは一緒の部屋で〜一緒のベッドで〜 寝起きするのよ〜ん・・・・・・」

浮かれまくって、その場で三回転ターンでもしそうなミサトに、リツコは努め て冷静に言うのだった。

「バカだバカだと思ってはいたけど・・・・本物だったなんて・・・・大体司 令が許可する訳がないでしょう、レイ本人だって・・・・・」

「へっへ〜だ。司令の許可は貰ってあるもんね〜。ふたつ返事でおっけーだっ たわよん。レイなんかもっと簡単。シンちゃんと一緒の部屋で寝起きしてねって 言ったら、すぐに「はい」だもの。」

「なんなの、おまえらって・・・・・」

愕然とするリツコと呆然としてもはや言葉も出ないシンジ。

「それには、ちょっち訳があるのよ。ちょっとリツコ・・・・・・」

ミサトはリツコの手を引いて部屋の隅に連れていく。

(実は、かくかくしかじかで・・・・・・)

朝のレイとの会話を掻い摘んで話す。

(だからって、あんた・・・もしもの事があったら・・・・)

(司令も言ってたけど、もしもの事があったらあったで、それはそれでいいっ てさ。シンちゃんのネルフ定着が決定的になるから、むしろその方向で工作しろ って。)

(マジ?)

(マジよ。それにねえ、リツコ。もしもの事があった後のレイを想像してみ。 今でさえネコみたいにシンちゃんに擦り寄ってるのがさ、もっとベタベタになる わよ。これは言ってみればレイのネコ化作戦なんだから・・・・・)

(レイの・・・・・ネコ化・・・・・・)

リツコは想像する。ミサトはトドメになる一言を呟いた。

(レイのヘッド・セット・・・・好きな形にデザインし直してもいいってさ・ ・・・例えば、そう・・・・ネコの耳、みたいな・・・・)

リツコはいきなり身を翻して、シンジの前に行く。

「シンジくん。もうこれは決定よ。さっさと覚悟決めてやっちゃいなさい。」

「ななな、なにを・・・・・」

「つべこべ言わないの。男の子でしょう。ほら、さっさと出ていって。あたし は忙しいんだから・・・・ミサトも。」

リツコはそう言い放って、特製のデザイン・ソフトを立ち上げる。

「んじゃ〜ね〜、さ、シンちゃん。行きましょ・・・・・」

ミサトはいまだ呆然としているシンジの手を引いて、リツコの部屋から出てい った。

(楽しいわあ〜、レイの件だけじゃなくって、あたしの色仕掛けもあるからね 〜。ひっひっひっひ・・・・・)




その夜。

「ミサトさん、ど〜しても一緒じゃないといけないんですか?」

この期に及んでも、まだシンジは躊躇っていた。

レイの事は好き。その事は疑いの無い事実として受け止めている。

が、それと一緒の部屋に寝起きする事は話が違う。

「もちろん、ど〜してもよ。」

これは絶対に譲らないといった強硬な姿勢を見せるミサト。

「綾波はそれでいいの?」

シンジはレイに振る。

「・・・・いいの。慣れなくっちゃ・・・・・」

レイの頭の中は、幸せな新婚さんのスイート・ルームを想像して、桃色のハー トで充満しているのだった。

「レイとがイヤなら、あたしと一緒って事になるけど・・・・・いいの?ひひ ひ。」

ミサトはシンジが赤くなって拒否するものと思っていた。

しかし、シンジはミサトの生活はもとより、寝相に至るまですべて知り尽くし ていた。

シンジは青くなった。

(ミサトさんと一緒なんて・・・・毎日怪我するようなもんだ・・・・)

「綾波と一緒がいいです・・・・・・」

流れに流され漂いながら戻ってきたこの世界でも、またシンジは流されるので あった。

ちなみにその一言でレイの心臓のアイドリング回転数が2000rpm上昇した のに気が付いた者は誰もいない。

シンジはこの件で、もはや何を言っても仕方がない事を悟ったのか、話を変換 すべく話題を切り替えようとする。

「そういえば、使徒なかなか来ませんね。ど〜したんでしょうね。」

ミサトは不思議そうな顔でシンジを見ながら答える。

「えっ、ああ。使徒ね。この間来たのは15年ぶりだからねえ、次に来るのは いつなのかわかんないわよ〜。でも、警戒を怠っている訳じゃないわよ。」

シンジは思った。

(そうだよね・・・・・ここはちょっと違うんだった。いや、かなり違ってる かな・・・来るのかなあ・・・・)

以前の世界では、学校に行って屋上でケンスケとトウジに囲まれていたときだ った。

(そう・・・綾波が、そっけなく呼びにきたっけな・・・)

「ねえ、ミサトさん。ぼく学校はいつから行けばいいんですか?」

「いきなりの話題転換ね。まあいいわ。学校はあしたからいいわよ。レイと一 緒に行きなさい。手続きはみんな済んでるし、空カバン持っていけばおっけーよ ん。」

そう言いながらビールのプルタブを開けるミサト。

それを見ながらシンジは思った。

(学校でも行って気分を変えたほうがいいみたいだ。このまんまじゃ、危険な 成人指定みたいになってしまう。大体18禁は氏名不詳さんにまかせておけばい いのに、なにを勘違いしたのかこんな方向に話を持ってくるなんて作者の気がし れないや。書けもしないのにそっちにばっかり振ってさ。ああ、シリアスなんか もっと書けないか・・・)

・・・・・何を言ってるんだ、君わ・・・・・




夜。

ミサトのお部屋。

主がパチクリ眼を覚ます。

「あ、いけね・・・・明日からセカンド・チルドレンも登校するんだった。・ ・・・・第二から直接来るって言ってたな・・・・・ま、いいか・・・・・」

・・・・・あんた、それ大事な事じゃないの。・・・・・

・・・・・あ〜あ、寝ちゃった・・・・・





ここは学校。

「・・・・・じゃ、碇くん。また後で・・・・・」

レイとシンジは職員室の前で別れた。

シンジは職員室で簡単な説明を受けて教室に向かう。

廊下で教師がシンジに言った。

「本当はもう一人転校生がいるんだが、第二のほうから直接来るんで少し遅れ るらしいんだよ。」

「へえ、ぼくの他にもう一人ですか・・・・」

シンジは考える。

(この時期に転校生なんかいたっけな?)

考えながら教室に到着、無事転校の儀式を済ませるシンジであった。




流石に2度目の世界なだけあって、シンジはすぐにケンスケとトウジと仲良く なる事が出来た。

聞けば、トウジの妹は怪我はしたものの、かすり傷程度で全く問題ない程度の ものらしかった。

だが、シンジを驚かせる事実が一つあったのであった。

それは、なんとトウジとヒカリがクラス公認のカップルであるという事。

それもベッタベタ。

確かにシンジが望んでいた光景の一部ではあったが、目の当たりにすると以前 の記憶とのギャップに眩暈がしそうなシンジであった。

ケンスケは窓の外を虚ろな眼で、視線を彷徨わせる時がある。

シンジは思うのだ。

(ごめん、ケンスケ。ケンスケの事すっかり忘れていたんだ。ケンスケのこと 、なんにも願わなかったんだわ・・・)

ネルフにおける青葉シゲルのような存在になるのであろうか。ケンスケの春は いまだ遠いと言わざるを得ない。

そして、昼食も終わり午後の授業。

担任の教師が、壇上で話し始める。

「え〜、本来なら碇くんと一緒に紹介するのが本当なんですが、都合で遅れた のでもう一人の転校生を紹介します。さあ、入って・・・・・」

教師が招き入れたのは、金色の髪を持つ美しい少女。瞳に優しい光を湛えてい る。

惣流・アスカ・ラングレー

黒板に名前を書いて、ゆっくり振り返る。

愕然と口を開けたまま、硬直しているシンジ。

ピクリとも動かない。いや、動けない。

(なんで、今の時期にアスカが?なんで?)

アスカはゆっくり口を開いた。

「あ、あの・・・惣流・アスカ・ラングレーです。えっと、ドイツから来まし た。日本語は話すのは平気ですけど・・・・・その、読み書きがまだ苦手です。 よろしくおねがいします・・・・」

恥ずかしそうに頬を染めて、頭を下げるアスカにクラスの野郎どもは声も出な かった。

もちろん、意味は違うがシンジもその一人。

(アスカが・・・・アスカが頬を染めて・・・・・恥ずかしそうにしてる・・ ・・・あなた、誰?・・・・アスカじゃないよ・・・・違う人ばっかりだ、ネル フも学校も・・・・)

おとなしそうで優しそうなアスカという事実に、いやギャップに耐えきれずシ ンジは泡を吹いて卒倒した。




・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

「んどうわあっっっ」

シンジは眼を覚ました。

(見知らぬカーテン・・・・)

飛び起きたから、最初に眼に入ったのはカーテンだった。

「・・・・夢か?・・・・・」

シンジは額の汗を手の甲で拭う。

「どんな夢を見ていたの?」

背後から声を掛けられて、シンジは恐る恐る振り向く。

イスに座って、優しい微笑みを浮かべているアスカがいた。

「あう・・・あう・・・・」

「ごめんなさい、心配だったから先生に無理を言って付き添わせてもらってい たの。」

「あ・・・・アスカ・・・・」

「あら、アスカだなんて・・・・・なんだか恋人みたいな呼び方ね。」

シンジの頭の中では、「違う人」という文字がライン・ダンスを踊っている。

アスカは悪戯っぽく笑いながら言葉を続ける。

「でも、綾波さんの前では駄目よ。あんなかわいい人が側にいてわたしなんか を見ていちゃ綾波さんがかわいそうでしょ。うふふ・・・」

今度は、「誰?」の文字が押し寄せる波のように、シンジの頭の中を埋め尽く している。

「わたしはセカンド・チルドレン、惣流・アスカ・ラングレー。これからよろ しくね、碇くん。」

アスカは手を差し出した。

シンジもつられて手を出して、握手をした。

微笑むアスカの顔を見つめながら、シンジの頭の中では「かわいい」の文字が 、映画のオープニングのように波の間から徐々に巨大化していた。



その後、アスカは予定通りにヒカリと仲良くなり、その容貌と相まって性格の 良さにクラスはおろか校内随一の人気を誇る事になった。



ネルフ正面ゲート。

シンジとレイが歩いている。ちょうど、IDカードを差し込んでゲートを通過し ようとしていた時だった。

「待って〜、碇く〜ん。綾波さ〜ん。」

振り向けば、アスカ。

金色の髪を靡かせながら、駆けてくる。

優しい表情とその美しさに、シンジは無論レイまで思わず見とれてしまうほど だった。

二人の側まで来ると、アスカは自分のIDカードを取り出してゲートを開けた。

「行きましょ。」

つられたのかレイがフラフラしながらカードを通して通過する。

「あっ、ごめんなさい、碇くん。ちょっと綾波さん借りていい?わたし、場所 がよく分からないから綾波さんに案内して欲しいの。いいでしょ。」

シンジはギャップになかなか慣れないようで、ただ頷くのみだった。

「いい?綾波さん?」

「・・・構わないわ・・・・」

レイとアスカは、手を振りながらゲートの奥へと消えていった。

その姿を見送りながら、シンジは呟く。

「・・・・みんな、誰?・・・・」






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