シンジ・リターン

製作 越後屋雷蔵

テスト・タイプ04


ここはネルフ。

司令所にて。

「結局、捕まえて独房に入っている訳ね。」

赤木博士が呟いた。

「ええ、まあちょっとお灸を据えないと・・・・・」

ミサトが答える。

「しかし・・・・レイがあんなになるなんて、いまだに信じられないわ。」

「確かにかなり怪しいってば怪しいんだけど、司令の息子だしね・・・・・」

「だから余計怪しいんじゃないの。」

「ふ〜ん・・・・あんた、そんな事言ってていいの?・・・・ひっひっひ、知 ってるわよん。あたし・・・・」

イヤそうな顔を隠そうともしないリツコ。

「何知ってるっての?」

リツコの耳元に口を寄せるミサト。

「司令にゲットされたんだって〜・・・・・え?」

顔を硬直させてそっぽむくリツコであった。

「ま、マヤ・・・・あの子たちの様子はどうなの?」

いつも司令所に鳴り響いているマヤのキーボードの音が、今日は聞こえて来な い。

見れば、マヤはモニターをジッと凝視している。

「マヤ?」

リツコの声にハッとするマヤ。

「は、はい。こ、こんな具合です・・・・」

マヤはモニターを大画面に切り替えた。

そこには、レイが嬉しそうにシンジに擦り寄っている映像が映し出されたのだ った。

レイはネコのようにす〜りす〜りと体を擦りつけている。

唖然とするミサトとリツコ。

「か、かわいいですよね・・・レイちゃん・・・・ネコみたい・・・・」

赤い顔でボソッと呟くマヤ。

「ネコ・・・そうね・・・ネコみたいね・・・ええ、かわいい・・・・」

ネコのキーワードに触発されたか、リツコはレイをネコのイメージに被せて見 てしまった。

「そ〜じゃないだろ、独房になんで二人で入ってんのよっ。独房の意味がない じゃないの。誰?一緒に放り込んだのはっっ・・・・」

マヤが頭を掻きながら答えた。

「えへへ・・・わたしで〜す。いや、なんかあの二人引き離すと七代祟られそ うな気がしたもんですから・・・・ははは」

「か〜・・・信じらんない・・・・これじゃ、あいつら喜ばすだけじゃんよ。 レイの顔見てみ。もう、ど〜にでもしてって感じ。どこまでもいきますって顔じ ゃないの・・・・・もう・・・・」

ミサトはきびすを返して独房に向かった。




ガッシュ〜ン・・・・

扉が開いて、ミサトの影が独房に射し込む。

「シンジくん・・・・どうして逃げ出す用意なんかしたの?」

す〜りす〜り

「ぼくが逃げたくないって考えないと思ったんですか?」

す〜りす〜り

「そりゃ、考えない事もなかったけど・・・・・」

す〜りす〜り

「じゃあ、別に変じゃないですよ。」

す〜りす〜り

「でも、もう乗ってもらうしかないわ・・・・」

す〜りす〜り

「ねえ、綾波さ、今ミサトさんと結構シリアスな会話してるんだけど・・・・ ・ちょっと離れてくれないかな・・・・・」

す〜りす〜り

「そうよ、レイ。ギャグだけじゃないってとこも見せておかないと、ギャグ作 者の固定観念を持たれてしまうわ。手遅れかもしれないけど・・・・」

す〜りす〜り

「そうだよ、本人は結構シリアス目指して書いてるのもあるらしいから・・・ ・」

す〜りす〜り

「・・・・・・でも、結局みんなギャグになってない?・・・・・わたしの扱 いなんかもうちょっとかわいくしてほしい・・・・・」

す〜りす〜り

「これが精一杯らしいから、あんまり困らせちゃいけないよ。書いてくれなく なったら困るだろ。」

す〜りす〜り

「はあ〜・・・・もう、いいわ。出て司令所に来て・・・・」

訳の分からない会話をしていた三人は、独房を出て司令所に向かうのであった 。




再び司令所。

「あんたたちには罰する必要があるの。」

腰に手を当てて、仁王立ちになって言うミサト。

「今回の独房が罰のつもりだったんだけど、どなたさんのお陰で罰にならなく なっちゃったから、改めて罰を言い渡します。」

「はい・・・」

シンジは殊勝な顔つきで返事をする。

す〜りす〜り

レイは・・・・・聞いちゃいなかった。

「罰は・・・・・無期限のあたしとの同居。並びに我が家の家事全般をあんた らが担当すること。これなら、レイがシンジくんに襲われる事もなければ、シン ジくんがレイに襲われる事もないのよ。あたしがいるからねん。」

親指立ててガッツポーズするミサト。

「確かに、強烈な罰にはなるわね・・・・・葛城邸の家事全般・・・・・」

リツコは頷く。

シンジは愕然としていた。

(また・・・また、家事をしなくちゃいけないのか・・・・前回より同居の時 期が遅くなってるから、きっと壊滅状態なんだろうな・・・・やっぱり、さっさ と逃げるべきだった・・・・・)

「・・・・同居、それは同じ家に一緒に住むこと・・・・・同棲?・・・・・ 」

恐らく地獄と化しているであろう葛城邸の状況を知らないレイは、妖しげな妄 想を展開している。

ボムッッッ

擬音が実際に聞こえるような感じで、レイの顔が真っ赤にのぼせ上がった。

妄想がかなり先に進んだらしい。

それを見たマヤが、ぽそっと呟いた。

「・・・・・レイちゃんには、罰になってませんね・・・・・」

「いいの、いいの。ネコみたいだから、まったく構わないわ・・・・・」

リツコは、レイのすりすりが気に入ったらしく、異様なほど優しい眼でレイを 見ていた。

「んじゃ、今日はもういいから、さっさと帰って片づけてちょ〜だい。」

ミサトはビシッと指を出口に向けて指した。

「はい・・・・・」

どよ〜んと沈むシンジの顔。

す〜りす〜り

一向に構っちゃいないレイ。

すりすりとぼとぼ去っていく二人に、ミサトが一言声を掛けた。

「乳繰り合うより、片づけが先だからね〜」

「そんな暇ないでしょ・・・・・今日終わるかどうか・・・・・」

打ちひしがれるシンジは弱々しく答えるのであった。





「シンジくんへの罰にしちゃあ、軽すぎない?」

リツコはミサトに問いかけた。

「へっへっへっへ、そこはほれ、考えてあるわよ〜ん。」

ニヤリ炸裂。

「こんな美女と美少女が一緒に住むんだから、もう毎晩悶々とする訳よ。多分 あの子の性格だと手を出すってこともできなさそうだし、ひっひっひ、思いっき り色仕掛けで苦しめてやるわ・・・・・」

「ど〜でもいいけど、あんたが襲っちゃ駄目だからね。」

「大丈夫よ〜、・・・・多分。」

リツコはこめかみを押さえて、マヤに言った。

「マヤ・・・・頭痛薬と水・・・お願い・・・・」






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