レイ・リターン

製作 越後屋雷蔵


プロト・タイプ08


ここからの話は、わたしはあまり関係がない。

なぜかと言うと、「マグマ・ダイバー」の話でわたしは前半しか出て来ないか ら。

でも、二回目だから出られるかもしれない。

そう、あれはいつの間にか修学旅行の時期になっていたの。

あの時は旅行なんかどーでもいいわ、なんて思っていたけど、もしも行けるな ら、碇くんと行けるなら、何もかもほっぽりだして行くのに。

でも、やっぱり待機だった。

人の気も知らないでのんきに手を振るクラスメイトたち。

仕方がないわ。

四人でプールで泳ぎましょう。

あら、牛がなにか言ってるみたい。

「あんたたちは学校の成績もいいから、本部の中の施設好きに使って遊んでて いいわよ。」

おかしいわ。

碇くんの記憶では成績が悪いから、プールサイドで勉強してたはずなのに。

まあ、いいわ。良い方に歴史が変わるのは歓迎すべきこと。

さて、プール、プール。



ここはプールサイド。

ここでわたしは気が付いた。

着ている水着が前回と同じだ。

しまった。新しいの買っておけばよかった。

最近優しくなったサルは相変わらずの、ハイレグ。

やはり、胸は大きい。スタイルもホントに14歳?って疑いたくなるほどだ。

わたしはというと・・・

もう、なにも言うまい。個人差だから・・・碇くんが喜んでくれればそれでい いのだ。

この二回目の世界以外にも、他の可能性があるのなら、きっと胸の事で思い悩 むわたしがいるのだろう。この世界のわたしよりかわいく書いてあるに違いない 。なんでわたしはこんななの。もっとしっかりして欲しい。余計な話ばっかり書 いていないで、もっとわたしをかわゆく書いて欲しいの。お願いね。

ふと見ると、渚くんと碇くんが並んで歩いてくる。

碇くんは前回より体格がよくなっているみたいだ。

素敵。

渚くんも細いながらもしなやかそうに筋肉が付いてる感じ。

ん。

サルが横目であっちを見ているわ。

顔はわたしを正面にしてるのに、黒目があっちを向いている。

わたしからは白目しか見えない。

気持ち悪い。

「やあ、お待たせしたようだね。失敬。失敬。」

渚くんが声を掛けてきたの。

そしたら、

「別に待ってなんかいないわよ・・」

サルがいきなり飛び込んだ、プールに。

「アスカ、ちゃんと準備運動したの?」

碇くんはやっぱり優しい。

「綾波、泳ごうか。」

ホントに優しい。



ここはプールサイド。

最近なんとなく親しみが持てるようになった人形女が目に入った。

細くて華奢で白い肌を持つ体。

そのくせ、出っ張る所はしっかり出てる。

サイズはあたしより下だろうけど、基本の細さが違う。

でかく見える。

守ってやりたくなるようなって言うのは、あんなのを言うんだろうな。

和風の美しさとでも言うのかな。

良い意味でのお人形さんって感じ。

こいつは細い割に、結構大食らいなのだ。

そのくせ、一向に太る気配すら感じさせない。

こっちは100gの増減すら、一喜一憂してるのに不公平だわよ。

あたしのほうがグラマーだって言い張るしかないだろう。

事実そうなんだから仕方ない。

ぬっ・・シンジとカヲルがきた。

目だけで姿を追うあたし。

銀色の髪、赤い瞳。気になる、ちょっと・・・

人形女と似ているから、気になるのよ。

きっとそうよ。

うわ、視線が合っちゃった。

「やあ、お待たせしたようだね。失敬、失敬。」

げ、声掛けてきた。

「別に待ってなんかいないわよ・・」

あたしは言い捨てて、プールに飛び込んだ。

あいつ・・・

綺麗な目をしてる・・・

うえっ、あたし何考えてんだろ・・・




浅間山の使徒捕獲作戦が発動した。

「今回の作戦は使徒の捕獲を最優先とします。出来うる限り原型を留め、生き たまま、回収すること。」

赤木博士が前と同じセリフを言った。

「できなかった時は?」

サルが聞く。

「即時殲滅。いいわね。」

「「「「はい。」」」」

「今回の作戦は、アスカとカヲルくんに行ってもらうわ。」

あれ?

いきなり決まっちゃった。

「シンジくんとレイは本部で待機。以上よ。それからアスカとカヲルくんは装 備の説明をするから一緒に来て。」

サルと渚くんが二人並んで歩いていく。

わたしたちは司令所に向かって歩いていく。

「ねえ、綾波。カヲルくんのテスト結果凄かったねえ。シンクロ、ハーモニク ス共にずば抜けてるんだもんね。」

「・・・そうね。渚くんは自分はテストではエヴァのエース・パイロットだっ て言っていたものね。でも、実戦では碇くんにはかなわないだろうって・・・」

「実戦も慣れの部分があるからね。きっと僕なんかすぐ抜かれてしまうよ。」

「・・くやしくないの?・・・」

「別に。だって仲間だもん。心強いよね、やっぱり。」

「・・そうね・・」

今回はやはり前回とは違っている。

でも、碇くんと一緒の待機だから嬉しい。




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