惣流さんと綾波さん

製作 越後屋雷蔵



ここはネルフ本部。いくつあるか分からない位たくさんあるエレベータの前。

惣流・アスカ・ラングレーと綾波レイが相対していた。

無言の火花が散る睨み合いは、しばらく続いた。

何故、こんな睨み合いになったか、それは少し時間を戻さねばなるまい。


テストが終わり、それぞれ別室で簡単な検査をして帰宅するはずだった。

なんのはずみか、エレベータの前でシンジをめぐって静かな火花を散らしてい た二人が、ばったり顔を合わせたのだった。

それは、アスカ放った軽い嫌味が発端だった。

「あんた、胸があるように見えるけど、体自体細いから大きく見えるだけなの ね。」

舐めるようにレイの体を見回すアスカ。

「細いだけじゃ、シンジは喜ばないんじゃないのお。」

赤い瞳がキラリと光った。

「・・・無駄な脂肪が胸に集まっているだけでは、碇くんは喜ばないと思う・ ・・」

蒼い瞳が矢のような鋭い視線を飛ばした。レイは続けて言ってしまった。

「・・気を抜くと、耐熱仕様のプラグ・スーツみたいになるわ・・・くすっ・ ・」

「笑ったな・・笑いやがったなあ。この鳥がら女はっ。女はね、脂肪が付いて るから丸い柔らかいラインになるのよっ。あんたみたいなガリガリは女って言わ ないのよっ!!」

「・・女って言わない・・くっ、適度な脂肪は確保してるわ・・」

「適度なじゃあ駄目よ。あんたみたいに細すぎでは、間違ってシンジが抱きし めても力一杯抱いてもらえないわよ。あいつそういう事は気が回るからねえ。」

ハッと目を見開いたレイは、衝撃のためかよろりらとしてしまった。

「・・で、でもわたし位のサイズが、碇くんが抱きしめるのに丁度良いサイズ なの。あなたではちょっと大きい・・どっちが抱きしめてるか分からない・・」

今度はアスカがよろりらだった。

「こっ、このくらいの方が包み込んでくれるって感じで、シンジのハートを揺 さぶるのよっ。抱きしめてちょうどいいなんてのは、大人が子供をかわいいかわ いいってすんのと同じことなのよっ。あんたはまだまだ、お子さま体型だからシ ンジに頭でも撫でてもらってりゃいいのよっ!!」

「・・わたしはお子さま体型じゃない。赤木博士だっていいプロポーションだ わねって言ってくれたし、伊吹さんだって最近の中学生って発育がいいわって言 ってたわ・・」

「あたしの体見て、シンジは鼻血出したわよっ!!」

「・・どうせ、いやらしい格好して碇くんを誘惑しようとしたんでしょう。き っと魅力を感じた訳じゃない・・わたしなんか、お風呂上がりに押し倒してもら ったのよ。碇くんわたしの裸を見て欲情したのよ、きっと・・・」

「そんな訳ないでしょっ。」


そんな事で睨み合ってる二人は、なにかのきっかけがないと身動きすらできな いほどの、緊張感に包まれていたのだった。


チーン

エレベータのドアがスッと開いて、のほほんとした顔のシンジが何も知らずに 出てきた。

二人の美少女は蒼き炎と赤き炎を、それぞれの瞳に激しく燃やしながらシンジ を睨み付けながら、叫んだ。

「「シンジ(碇くん)、あたしを(わたしを)選ぶの、こいつを(この人を) 選ぶの。どっちなのよっ(なの)」」

あまりの激烈さに、固まってしまったシンジ。

その時、エレベータのドアが再び開いた。

ネルフ一般職員が二、三人降りてきて、異常事態にフリーズする。

「あう、あう。」

呻きながら、ドアの締まりかけたエレベータに飛び込むシンジ。

料理と共に定評あるシンジの逃げ足以上のスピードで、アスカとレイはエレベ ータに乗り込んできた。

「「逃がさないわ(よ)」」

「た、助けて・・・」

シンジの願いは虚しくエレベータのドアに遮られた。

なぜか、ドアの前でネルフ一般職員たちが合掌していたのだった。




なんでしょね

こりは・・

越後屋の即興1時間製作シリーズって所すか

次があったら、今度は考えて書きます。

すいませんです



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